
近年、資産形成においてのパートナー、「ファイナンシャルプランナー(FP)」が注目されています。
個人だけでなく法人向けにも幅広くサポートを行い、メディア出演やセミナー講師として活躍されている、FPサテライト株式会社代表取締役の町田萌さんにお話を伺いました。
FPサテライト株式会社は、保険や金融商品の販売は一切行わないというスタンスで事業を運営している非常に珍しい会社です。
Q.ファイナンシャルプランナーは、相談すると保険とか金融商品を営業されるイメージですが「販売は一切行わない」ということはどういうことなんでしょうか?
この業界の現状としては、コンサルティングをしていると言っても、最終的なゴールが保険であったりとか、あるいは証券の販売であったりというような現状がどうしても出てきています。
業界の構造として、よろしくない売り方であったりとか、しっかりとお客様に向き合ってるふりをして、実は違うみたいな現状がどうしても問題視されているというところがあります。
私も前職の税理士法人で保険の代理店もやってたんですけど、その保険会社のうち1社のノルマが足りなくて、代理店契約が継続できないみたいなことがありました。
そのときどうしたかって言うと、取引先に当たって怪我をした社長さんとかのところに行って、「今度怪我した時にこう備えられるように医療保険入りましょう。」とか、あるいは決算近いお客さんに当たって「節税しましょう。」と法人保険に入れさせたりみたいな。
結局、販売ありきになってしまった、良くない販売現場を見てきたということが理由です。
商品を取り扱う以上は中立にしようと頑張ったとしても、構造上100%お客様に寄り添うことは難しいなという思いがあったので、創業当初から商品を取り扱わないというスタンスでおります。
Q.そうなんですね。なんかすごい大変そうですが、ここが苦労するなってことは何かありますか?
やはりお客様から見た時に、「保険を扱っていて無料でお金の相談しています。」という人と私たちみたいに「商品を取り扱わないでお金をいただいて、相談を受けてます。」という人がいます。
そこで私たちの違い、メリットをお客様に伝えるっていうのがなかなか難しくて、「何で無料相談もあるのに、わざわざお金払うの。」みたいに言われてしまうこともあります。
世の中の風潮として、お金払ってでも相談に来ていただくことに価値があるというところの訴求っていうのはまだまだ課題感として実感してますね。
そこを打破するっていうのは、そもそもお金についての考え方を根本的に変えるような何か施策がないとガラッと変わらないのかなっていう印象はありますね。
Q.どういう人が相談に来るのでしょうか?
保険の分野で言うと、どちらかというと年齢層が高い方が多いです。
昔から入ってた保険がちょっと多すぎるのではないかっていうところで、「入ってる保険ちょっと見直したい」というようなお客様が多いかなという感じです。
若い方は、「保険を提案されたけどこの保険どうなんですか?」 みたいにセカンドオピニオン的なご相談っていうのも多いですね。
資産運用で言うと、これはまた全然違って圧倒的に初心者の方が多いですね。
銀行とか証券会社に相談したら営業されそうだっていう心理だと思うんですけど、「資産運用そろそろしてみたいと思ってます。」とか、「何から始めたらいいのか教えてください。」みたいなご相談が多いですね。
あとは、若年層で総合的なライフプランを考えたいっていうニーズも非常に多いです。
ちょうど婚約したとか結婚したばかりみたいな20代後半から30代前半ぐらいのお客様も、「夫婦でこれからお金のこととか一緒に考えていくのにあたってプロの力を借りたい。」とご相談に来られる方がボリュームゾーンとして多いかなという感じですね。
Q.お金の相談ってFPに相談もできるし、金融機関にも無料で相談できると思うんですけど、あえて有料でお金を相談をするにあたっての強みとか差別化っていうポイントはありますか?
一番の強みは、やはり商品を販売しないという点です。それによってお客様のために多角的な視点で問題解決ができるからというところも大きいかなと考えてます。
それと、弊社では所属FPという形で芸能事務所のように、多数のFPが所属しています。
それぞれがいろんなバックボーンを持って多角的な相談を取り扱うことができます。1人で全部網羅するっていうのは難しいというところもありますので、それぞれの得意分野を持ち寄って問題解決ができるというところが特徴です。
Q.個人向けサービスについて、お客様のどのような悩みとか課題を解決するサービスなんでしょうか?
はい、個人向けもいくつかプランがありますけど、1つはライフプランニングです。
一般的なFPのサービスですけど、将来かかるお金だったりとか、シミュレーションを作成し、現在どのような問題があって、どのように解決すればいいか、っていうのを一緒に考えていくというサービスです。
人それぞれいろんなお悩み抱えてますが、将来のかかるお金を可視化できることで初めて解決策も出せます。将来に対するお金に対する漠然な不安だったりとか夫婦間で見えていなかったところが見えていくという効果が期待できます。
あと家計改善サービスプログラムっていうのも出しまして、そちらに関してはもっと家計の短期的な所にフォーカスして、今の月々の家計を改善していって、貯蓄体質を作るというようなサービスですね。
こちらは、短期的に管理する力を身につけることによって自分でお金をコントロールして、お金が減ってる気がするとか、なんかわからないけど貯蓄できてないっていうところから解放される効果があります。
今、相談に来られる方は、有料でも相談するっていうことの価値を元々認識していらっしゃる方が多くて、そういった意味で結構リテラシーが高い人が多いです。
しかし、本来、特にリテラシーの低い人にFPが必要だとは思います。
ちょっと意識を変えて、お金を払ってでも相談をして、家計の改善をするっていう流れになればすごいいいんだろうなっていう風に思いますね。そこは一般消費者もそうですし、我々FPも含めて教育をしていかないといけないと思います。
Q.法人向けのサービスについて、FPで法人向けというのはあんまり聞いたことないなっていう印象なんですけど、サービス内容について説明いただけますか?
法人向けのサービスは今後強化していくつもりですが、事業計画書を作成するっていうところは、過去にも何度かやっています。
中小企業庁から経営革新等支援機関の認定を受けてますので、その認定機関を通す必要がある補助金があったりとか、最近で言うと事業再構築補助金なんかもその一種なんですけど、そういった支援を行っています。
あと、経営者さんに関しては、会社のお金によって個人のお金も非常に左右されるんですね。
私自身も経営者なので、もうモロに感じている部分ですけども、例えば役員報酬をいくらかに設定するかによって会社のお金も変わってくれば、個人のライフプランまで変わってきます。
経営者さんの問題解決をしようと思ったら、個人の方だけ見てても解決が難しいですし、逆に法人の方だけ見てても解決が難しいというところで、FPが法人の財務もカバーできることによって経営者さんの一番最適解を提案することができるだろうということで、法人向けサービスも展開しています。
後編:【資産形成のパートナー】保険・金融商品選びで一番大事なこと

町田 萌
FPサテライト株式会社 代表取締役
日本大学商学部在学中よりファイナンシャルプランナー(FP)として独立を志し、外資系損害保険会社、資格試験対策等のeラーニング講座を手掛けるIT企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、24歳で保険などの金融商品を取り扱わない中立中正なFP事務所を開業する。26歳で法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任。30名以上の所属FPを束ねている。20代~30代前半の婚約中・新婚世帯を中心とした相談実績多数。家計・生活設計、保険、資産運用から、起業や経理支援まで、個人法人問わず広い視野からの問題解決を得意とする。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本FP協会認定CFP®。宅地建物取引士。
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