
アクティビストファンドとは
アクティビストとは、いわゆる「物言う株主」のことで、その基本的な戦略は、企業に対して「積極的に発言」をすることによって、企業価値向上を目指すものです。
経済産業省によると、上場株式を対象に、フリーキャッシュフローが多く、負債比率が低く、 株式持合比率が小さく、株価が割安である企業に投資を行うことが基本です。
アクティビストファンドの投資手法
株主としての権利を行使して、その企業に対してさまざまな発言を行うことで影響力を行使し、潜在的企業価値の向上や配当増額等を図り、最終的な投資先企業の株式価値を高めていく運用手法です。
究極のバリュー運用(ディープバリュー)とも表現される運用手法で、割安な企業へ投資を行います。
市場価値と本来の企業価値のギャップを埋めるために、株主権利の行使(議決権行使など)や提案、意見交換などを通じて企業経営に関与し、企業価値向上を図るのが最大の特徴です。
投資先への出資比率は、バイアウトファンドと異なり50%未満のマイノリティ投資であることが大半です。しかし、通常の投資信託と異なり、5%以上の大量保有報告書の提出や上位10社以内の株主となって、投資先に対して一定の発言力を確保しています。
アクティビストファンドと経営者支援ファンドの特徴
物言う株主として投資先企業へ敵対的な行動をとるアクティビストファンドが新聞等で報道されがちですが、なかには経営者との協力体制を強調するファンドも多くあります。
経済産業省では、こうしたファンドを「上場株式に投資する新たな形態(経営者支援ファンド等)」と分類しています。
どちらのファンドも「発言」をベースに投資先への企業価値向上を迫るものですが、発言方法が違うのでファンドに求められる必要な知識も変わってきます。
アクティビストファンドは、法的な株主提案権やTOBなどを駆使して発言するので、法的なことについての専門知識が要求されます。
たとえば、2006年5月より会社法が改正され、投資先企業の役員を解任させるのに議決権の半分以上の賛成で十分になりました。従来は3分の2以上が必要であったので、アクティビストファンドにとっては圧力をかけやすい状況になったといえるでしょう。
企業側からみると、これに対応するため、企業は定款で3分の2以上まで解任の要件をより厳しく変更することができます。ファンドはこうした定款の変更に賛否を表明することがあります。
このように、法的な知識が求められるのが敵対的アクティビストファンドの場合です。一方の経営者支援ファンド等に求められるのは、事業を理解してその事業の長期的な発展のために財務面・事業面で何ができるのかを提案する能力です。このため、事業の知識や財務の知識などがより重要になってきます。
また、リターンの源泉という観点でも、土地の売却や子会社上場、自社株買い、配当増加などのようなどちらかというと短期的な価値実現を目指すアクティビストファンドと、これらに加えて、事業そのものの成長も後押し して中長期的な価値成長も目指す経営者支援ファンド等では違いがみられます。