
投資にはさまざまなリスクがあります。
価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替リスク、金利リスク、カントリーリスク・・・など、投資を行う上でリスクのない投資はありません。「ノーリスク」と謳っているものは詐欺です。
自分が積極的にとれるリスクを決めておく
取るリスクを決めるとは、投資するにあたって何を諦めて利益を出すか、ということです。
それは人によりさまざまであるため、自分のスタイルに合わせて事前に決めておくべきです。
例えば、本業で十分な収入がありしばらく使わない余裕資金で投資する人は、流動性リスクを取って、流動性の低い(いつでも解約できない)低格付け債券やプライベートエクイティに投資することができます。
逆にいつ資金が必要になるかわからないような人や利益をこまめに確定させていきたいという人は、価格変動リスクは取るものの流動性リスクは取らない、上場株式や投資信託、といった具合です。
投資で成功するには、リスクを見極めどのリスクを取るのか明確にすること
近頃の投資環境は、今まで個人投資家が手を出しづらかった運用商品が多くあり、投資の選択肢は広がっています。しかしその分、何に投資すればいいかの悩みが大きくなります。
ただ高い利回りを求めるだけでは、その分リスクも高まり過剰に負ってしまうことにもなります。
重要なのは、自分はどのリスクをとることが出来るのかを明確にすることです。
投資資金の性格や投資経験などによってとれるリスクは人によって様々です。どのリスクをとることが出来るかを明確にしておけば、それが表面化した場合の対応が迅速にできます。含み損になった時のメンタルの保ち方としても非常に重要な考え方になります。
投資で一番重要なのは、どうやって高パフォーマンスを実現するかです。そのためには、どのリスクを負うか(何をあきらめるか)を明確にする必要があります。
富裕層が積極的に取っているリスク
では、富裕層が行っている投資において、主にどのようなリスクを負って大きなリターンをあげているのか。富裕層が積極的にとっている(とれる)リスクを検証してみました。
富裕層の投資において、代表的なリスクは「流動性リスク」と「信用リスク」です。もちろんそれ以外もありますが、個人投資家に比べ富裕層が比較的取っているリスクとして2つ挙げます。
流動性リスク
富裕層が積極的に取っているのは流動性リスク、つまり短期間での換金ができないというリスクだと思います。
一般的に高利回りのヘッジファンドやプライベートエクイティなどは期待リターンが高い一方、換金できる時期が数年先か短くても半年~1年と限定されており、資金的には長期間寝かせることになります。
このような流動性の低い投資をする時は、資金的な余裕がある場合や金融資産の一部に限定するなどすれば、このリスクを取りやすいです。
投資信託などは換金に備えて流動性の高い現金などを確保していますが、こうした換金性の低い運用商品はじっくり運用できるので相対的に高いリターンをあげることができます。
信用リスク
次に信用(クレジット)リスクです。信用リスクは企業の破たん等で投資価値が大幅に減少する可能性のあるリスクのことです。
ハイイールド債や劣後債と呼ばれる債券は、高利回りでもありますが、格付が低い分この企業が破たんした時の信用リスクを大きく負っていることになります。
米国の社債などでは、企業が破綻しデフォルトに陥った債券の回収率は20-30%と言われています。もちろんそのリスクを負う分、投資利回りはとても高いものになっています。
一般的に高格付けの個人向け社債と違い、こういった債券は、少なくても1,000万円から、大きいものだと1億円からしか買えません。また証券会社で在庫を保有しているケースはありますが、誰でも知っているような人気の企業の債券だと瞬間的に売れてしまう、ということも多いです。
金融商品ごとのリスクとリターンの概要
この図は、金融商品ごとの特性をわかりやすくしたものです。
例えば、プライベートエクイティだと、リターンはとても高いですが流動性はなく、投資期間も長いです。投資信託は流動性はあるものの、リターンが少ないです。
人により取れるリスクは違います。ライフスタイルや投資方針などに合わせて取れるリスクをしっかりと決めましょう。