
クラウドファンディングは、5つのタイプに分けられます。まず、金銭的なリターンの有無により、「非投資型」「投資型」の2つに大別できます。
非投資型では、出資者は、資金提供を受けた人からの感謝や、社会問題の解決に貢献しているという一体感・達成感、あるいは製品やサービス・特典などが得られますが、金銭的なリターンはありません。この非投資型には「寄付型」「購入型」の2つがあります。
一方、投資型では、出資者が金利・配当・キャピタルゲインなどの形で金銭的なリターンを得ることを前提にしています。
投資型には、「融資型」「ファンド型」「株式型」の3つの形式があります。それぞれのタイプについて簡単に説明します。
【非投資型】
寄付型
お金を必要としている個人やNPOなどが、多くの人に対して寄付を募るタイプです。
誰でも地震・台風などの被災者や、環境保全を目的としたNPOなどに対して寄付を行うことができます。金銭的・物質的なリターンはありませんが、寄付を受けた人からの感謝や、社会問題の解決に貢献しているという一体感・達成感が得られるでしょう。
購入型
特定のプロジェクトやビジネスに対して出資します。出資に対するリターンは、そのプロジェクトやビジネスが提供する製品、サービスや特典です。リターンの内容は出資金額に応じて変わるのが一般的です。一般的に「クラウドファンディング」として知名度や案件数が多いのがこのタイプです。
購入型サービスを手掛けるには、次に述べる投資型と異なり金融業の事業登録などが必要なく、手軽に資金を集めることができるため非常に多くのサービス会社が参入しています。
【投資型】
融資型
融資型は、お金を借りたい個人や企業などに対して自分のお金を貸し出すことのできるサービスです。「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。
出資者はリターンとして金利が得られます。基本的に利率は事前に決まっており、借り手が返済不能にならない限りその利率分の金利が支払われます。どのサービスも数万円程度の少額から投資することができます。
ファンド型
ファンド型は、ビジネスに対して出資を募り、出資者には売上の一部が配当として還元されるタイプです。
出資金に対する配当率はビジネスの実績により変動するのが一般的です。ビジネスが成功を収めた場合大きな収益が得られる可能性がありますが、思うような業績をあげられなかった場合は元本割れもあり得ます。
金銭的なリターンよりも社会貢献の要素が大きいです。出資者も純粋に出資対象の事業やプロジェクトを応援したいという 思いが強く、利益は二の次という人が多いようです。
半分投資・半分寄付だったり、リターンが製品や特典である案件も多くあります。金銭的なリターンがあるものについても、目標利回りは明示されていません。あくまで投資リターンを得たいという人には向かないかもしれません。
株式型
2014年5月にベンチャー企業の資金調達を支援することを目的とした改正金融商品取引法が成立したことを受け、2015年4月から株式型クラウドファンディングが解禁されています。
株式型クラウドファンディングとは、これまで一部の例外を除いて売買ができなかった未公開株に対して仲介業者を通じて投資するものです。
ただし、上場株式の売買と比較して、以下の制約があります。
- 1社当たりの調達額は1億円未満
- 投資家の出資額は1人あたり50万円以内
- 売却は可能だが、売却先は対象企業の関係者から構成される「投資グループ」のメン
バーに限る
株式型では、通常の上場株式投資と同じく、投資家へのリターンは配当と売却益です。
株式なので配当率は業績に応じて決まることになり、事前には決まっていません。 また、売却は可能ですが、いつでも誰にでも売却できるわけではなく、長期保有を前提として投資することになるでしょう。
出資対象は基本的にベンチャー企業なので、一般的な上場株式への投資よりもハイリスク・ハイリターンなものです。最悪の場合は倒産し、出資金が1円も返ってこないこともあり得ます。
一方で、ビジネスが成功を収め、将来的に株式上場といった展開になれば、出資金の何十倍もの売却益が得られる可能性もあるかも知れません。
投資に際しては、融資型以上に企業の将来性・安定性などを見極める目が必要です。