
事業再生ファンドとは
事業再生ファンドは、バイアウトファンドと似ています。
しかし、その投資対象を一時的に業績悪化に追い込まれてはいるが、今後立て直すことができると思われる企業に限定している点が異なります。
バイアウトファンドがどちらかといえば、健全な企業のキャッシュフローをさらに拡大することを狙っているのに対して、事業再生ファンドは赤字になったものを黒字にしようとすることを狙っています。
しかし、実際には、バイアウトファンドも事業再生ファンドが手がけるような投資案件を行うことがあり、また、事業再生ファンドも本業は黒字だが借入過多となっている企業へ投資するなど、両者の線引きは必ずしも明確ではありません。
また、投資手法では、バイアウトファンドは主に株式の買取り(もしくは増資引受け)をするのに対して、事業再生ファンドではこれに加え、金融機関等から貸出債権を買い取り株式に交換する(デット・エクイティ・スワップ)ケースもあります。
投資家からみると重要な分類
バイアウトファンドか、事業再生ファンドかという分類は投資家からみると重要です。
たとえば、投資家が自分の資金をいくつかの投資ファンドへ分散投資する場合、事業再生ファンドはより倒産リスクが高いので資金配分を低めに、倒産リスクの低いバイアウトファンドへはより高い資金配分を行う、といったように、投資家がポートフォリオ構築を行う際の目安とすることが可能になるからです。
不良債権投資ファンドとの違い
不良債権投資ファンド(ディストレストファンド)との違いは、回収方法ににあります。
事業再生ファンドは文字どおり、投資した事業のキャッシュフローを黒字化してそのキャッシュフローや企業価値の増加した株式を売却することです。
一方、不良債権投資ファンドは、破綻または破綻に近い企業の債券などを安値で買うことによって、投資した資金の回収を目指しています。
この結果、事業再生ファンドは、事業再生まで数年の期間を要したうえで資金を回収することが多いのに対して、不良債権投資ファンドの回収期間は、担保物件をすぐに処分して回収するので短くなります。
目指す出資比率は50%超
本業のビジネスが劣化して、キャッシュフローが赤字になっている事業を立て直すためには、 当然抜本的な事業再構築(リストラクチャリング)を行う必要があります。
こうした外科手術のようなものを行う場合、事業再生ファンドは、自分で投資先の運命をコントロールできる立場となるべく、経営権の取得を目指します。
場合によっては経営陣も送り込んで財務内容を改善し、企業価値が高まったところで株式を転売したり、上場させたりしてリターンを確保します。これが、一般的な事業再生ファンドです。