
最近、「オフショア投資」という言葉を使って海外の証券会社やファンドの勧誘をしている人がいます。
海外の投資を国内で勧誘するにも国内のライセンスが必要になるため要注意です。本日は「オフショア投資」について気を付けたいポイントをお伝えします。
直接投資は可能
日本国内の投資家がオフショア(海外籍)など国外のファンドや証券会社に直接投資することは可能です。
しかし、この場合は当該業者が定める投資家基準に準拠していることが業者側の受け入れ要件となるため、日本ではなく、当該国の法令・規制で定められる投資家としての属性やマネーロンダリング防止のための本人確認などを行うことになります。
また、投資するにあたっての書類などはほとんど英語であり、専門知識がないと直接投資をするというのは現実的ではありません。
オフショア投資の仲介業者に気をつけろ
海外の金融商品であっても、日本国内での登録が行われていない場合、日本国内での募集を行うことはできません。
個人投資家がインターネットなどを通じて投資する事例がありますが、潜在的なリスクが大きく、万が一のトラ ブルに対応することは事実上不可能と思われます。
また、日本語による実質的な仲介サービスは、日本の法令に準拠したものかどうか、留意が必要です。
では、海外のヘッジファンドなどはどのように日本で募集しているかです。
日本国内の投資家向けに募集を行うためには、金融商品取引法に基づく日本における募集資格を有する者が販売会社となって、外国籍私募投資信託としての金融庁に登録を行う義務があります。
日本で募集活動が行われるヘッジファンドの大部分が、この形態をとっています。
オフショア投資の3つのリスク
①そもそも実態がない
これは、こちらの記事でも紹介している投資詐欺です。まるでうまく運用しているように見せかけて中身がないというケースです。
「オフショア投資」は日本国内の投資と違い運用の公表義務がないため、そのオフショア投資という言葉を良いように使って実際は運用しないポンジスキームであることがあります。
SNSのみで勧誘している投資はほぼここにあたると思っています。その業者の正式なホームページや、運用の実態を見極めましょう。
②解約金が送金されない
これもよくあるケースです。海外業者は存在するものの、解約し送金依頼をしてもいつまでたっても送金されないということがあります。
そもそも解約できないというルールの時もあれば、送金は海外送金になるため時間がかかります。国内の銀行で受け取る際にも高額な送金手数料がかかります。
また、日本の銀行も最近はマネーロンダリング対策に力を入れていますので、海外から送金される資金には相当厳しいです。そのため、海外から送金はしたのに日本の銀行で受け入れてくれない、もしくはマネーロンダリング調査のために資金凍結されてしまう、なんてこともあります。
③税金は必ず申告する
海外への投資による利益は基本的に雑所得として「総合所得」になります。国内の金融機関での利益は「申告分離課税」として一律約20%ですが、総合所得の場合は個人の給料など他の所得を通算され、所得が高い人は40〜50%の税率になることもあります。
また、海外送金を伴う取引のため、税務署も目を光らせています。オフショア投資で利益が出た場合は、必ず申告をしてください。逃れようとしたらそれ以上の追徴課税をくらいことになり痛い目を見ます。
以上、「オフショア投資」についてお伝えしました。
個人的な意見ですが、オフショア投資という言葉を使って国内で勧誘している人間がいたら基本的に怪しいと思っていいです。おそらくその仲介者は金融ライセンスを持ってないでしょうし、万が一のトラブル時にも対応してくれません。
ご自身で投資を行う分には構いませんが、通常の投資にはないさまざまなリスクがあることに気を付けてください。