
エンジェル投資、ベンチャー投資においては、たいてい投資した会社が投資家に連絡してくるのは、年に一度の決算報告くらいです。ひどいケースだと、その会社がIPOかバイアウト、もしくは倒産するまで連絡が来ることがないなんてこともあります。
それでもさほど問題はありませんが、できる限り投資先とは密に連絡を取り合い、実施させるべきこともあります。
月次報告
会社の毎月の売上や損益がわかる資料です。まだ売上がたっていない場合は、ビジネスの進捗報告でもなんでも構いません。
月次報告書があると、今の会社の状況がほぼ把握できます。IPOを目指している会社であれば、月次報告書をつくるのは当然なので、きちんと確認をしておきましょう。
さらに、より詳しく現状を知りたいという方は、確認事項として以下の情報も追加しておきましょう。
まずは現預金の額です。月次の報告書にも載せていることもありますが、この項目は重要です。どんなビジネスでも現金が足りていれば倒産することはありません。
毎月どのくらいの現金があるかを確認しておけば、いつ次の資金調達をすればよいかなど、会社の動きもある程度把握できるので確認しておくべきでしょう。
次に、成長戦略をアップデートさせて確認しましょう。特に、ネガティブ要素は詳細を書かせるルールにしておくと、会社の状況がよりわかります。
たいていの経営者はポジティブであり、自社のポジティブ要素ばかり話す傾向にあるため、あえてネガティブ要素を聞くことで、投資家が状況を理解できるだけではなく、経営者も自社の状況を理解するという利点があります。
株主総会
年に一回か二回、株主総会を開き、今の会社の進捗を報告してもらいます。その際に他の株主の方もいらっしゃるので、情報交換の場としても最適です。総会が終わった後に、会食などで親交を深めて、お互いにプラスとなる人脈や情報を交換し合うのは非常に有意義です。
私もできるだけそういった会合には出席し、色々な方と親交を深めるようにしています。時間に比較的余裕のある方はぜひ試してみてください。投資に非常に役立つことがわかってもらえると思います。
エンジェル投資家が出資する以外でやるべきこと
投資先の経営者が、エンジェル投資家に出資以外のことも望んでいる場合が多いです。
例えば、エンジェル投資家にはもともと経営者として実績のある方も多く、そのネームバリューを利用することで会社の信用度が増す可能性があります。
とある有名なエンジェル投資家は、その人の名前を株主名簿に載せたい起業家が多数いるため、株を譲渡されることがあるそうです。その人の名前が株主名簿に載るだけでさらに投資家が集まるので、有効な戦略かもしれません。
また、エンジェル投資家が持っている人脈や過去の経営経験からの助言など、会社にとって有益なサポートを受けられることも期待しています。なかには社外取締役に就任するエンジェル投資家もおり、会社の経営により深く関わる人もいます。
もし、投資先が自分の得意分野で投資先にとって力を発揮できるなら、社外取締役として協力することで、より早くイグジットが達成できるかもしれません。
どこまで経営に口を出すべきか
投資先にとってメリットのある助言ならばよいのですが、やたら会社の経営に口を出してくるエンジェル投資家も存在します。彼らとしては良かれと思って親切心から助言しているのかもしれませんが、起業家にとっては不満を感じる場合もあるようです。
実際の企業でも、リタイアしたある有名な経営者も出資をしていたのですが、時間をもて余していたのか毎日のように会社に顔を出し経営に首を突っ込んでくるため、嫌気がさした役員や社員が辞めていくという事件がありました。
投資先の企業の株は上場していないため、簡単に売買はできません。つまり、一度投資家が株を手にすると、手放してもらうのも容易ではありません。
結局、その方の株を買い取って株主から抜けてもらうために、説得するのにかなりの時間をかけてしまうということも起こります。
エンジェル投資家は投資先の経営者ではありませんから、メリットになる程度ほどほどに関与するのがベターではないでしょうか。