
エンジェル投資やベンチャー投資で自分の資産をできるだけ減らさずに手堅くチャレンジしたい場合は、バイアウトを目指す企業の投資をより厚めにしてください。
IPOを目標にしている会社とバイアウトを目指す会社は、経営方法がまったくと言っていいほど異なります。
IPO型はイノベーションを起こしたい
IPOを目指す会社は、会社の売上よりも、今どこにも存在しない世の中にインパクトを与えるプロダクトを生み出すことに集中しています。
そのため、イノベーションが起きるようなプロダクトができるまでは、会社が赤字を垂れ流し続けても気にしません。
たいていは1期目に数千万円の赤字、2期目も赤字、3期目に黒字になれば上場準備をしてIPOという流れになります。1期目、2期目の赤字を資金調達でまかなえるかが勝負です。
上場したITセキュリティ会社の例だと、1期目1億円の赤字、2期目4,000万円の赤字、3期目1,500万円の黒字、4期目1億円の黒字で上場しました。
上場した時点での売上は6億円程度でしたが、会社のバリュエーション (時価総額)は250億円にもなりました。
バイアウト型は手堅く
一方、バイアウトを目指す会社は手堅く利益を上げていく経営になります。
会社を高くバイアウトするには、「利益を上げること」と「のれん代」を上げることが重要になるからです。
のれん代とは簡単にいえば、その会社の知名度など目に見えない財産です。会社が有名であればあるほど、その会社を高値でも 欲しいと思う会社が出てきます。
会社の価値を調べる簡易計算式は、「会社の利益×5年+会社の資産」で算出します。例えば利益1億円、資産5,000万円とすると、1億円×5年+5,000万円で5億5,000万円が会社の値段です。
この値段にのれん代が足されます。本来は5億5,000万円ですが、のれん代として会社の知名度や優秀な人材やライセンスも加味されてより高く売れることもよくあります。
IPO型とバイアウト型の投資割合を考慮する
IPO型とバイアウト型の経営が違うことが理解していただけたかと思いますが、バイアウト型は地道にコツコツと経営していくタイプのため、ルー ルに沿って選んだ会社なら手堅くバイアウトできる会社も多いはずです。
IPO型は、資金調達もそうですが、そもそもプロダクトができない可能性もあるので、ある意味ギャンブルみたいなものです。
そのため、10社に投資するとしたら7社はバイアウト型、3社はIPO型に投資するなど、バイアウト型を厚めに手堅くいくのが良いです。
バイアウト型を一つ当てれば10社に出資したお金がプラスで戻るということもあるので、それを元手にもう一度投資できるようになります。
優秀な支援会社がついている投資先
会社のIPOやバイアウトの支援を専門とするコンサルティングファームが存在します。
投資先にそのコンサルがついていると、エグジットの確率が飛躍的に上がります。主に、公認会計士やベンチャー経営支援を行っている企業などです。
コンサルティングの内容は多岐にわたりますが、基本的に4つあります。
①PR
まずは会社の知名度を上げるためのPR活動です。どんなに良い商品でも、その商品が知られていなければまったく売れません。売るために百貨店やスーパーなどに置いてもらおうとしても、知名度がないと話も聞いてくれません。ですからまずは商品をPRして、認知してもらう必要があります。
②アライアンス
次に行なうのがアライアンスです。ある程度知名度が上がってくれば、この商品とコラボしたいという会社も出てきます。そのような会社を見つけて、アライアンス契約の段取りをするのも仕事です。
③資金調達
重要な仕事として資金調達があります。会社はお金がある限りはつぶれないので、売上と利益が上がるまでは資金調達さえできていれば基本的には問題ありません。
様々な投資会社やベンチャーキャピタルをアテンドして、資金調達に向けてのサポートもします。
④買収先
バイアウト型の場合は買収したいと思われる会社の候補も選定します。コンサルティング会社は様々な会社とやり取りがあるため、シナジーが効く会社を探すのも得意です。買収先候補を選定した後、バイアウトする際にはM&Aアドバイザーにバトンタッチします。
これらの業務はベンチャー企業独自で行うのには限界があります。こういったコンサル会社が入っているベンチャー企業は、高い報酬を払ってでもイグジットに本気です。
いくら優秀なコンサル会社が入っていてもうまくいかないケースも多くありますが、そういった企業にうまく投資をしてエンジェル投資を成功させましょう。