
投資・資産運用を行っていると、相場の急変時や想定していた値動きと異なるときがたまにあります。
そんな時、皆さんはどのように行動するでしょうか。人間は感情を持つ生き物なので、投資を行う際にも例外なく全員、感情に振り回されます。
例えば、相場が急落し保有資産が含み損を抱えた場合は、「不安」の感情に埋め尽くされます。そのような時は要注意です。本来、保有し続けるべきタイミングにその感情のせいで売却を早まってしまい、その後反発し「売らなければ良かった・・・後悔。」なんてことになりかねません。
今回は投資においてそのような「感情による失敗」をなるべく起こさないようにするための鉄則をお伝えします。
人により様々な投資を行っていると思いますが、これはどんな投資を行っていても共通しているルールです。
1.感情を無効化する
【定期リバランス、売買ルールの事前策定を行う】
そもそも投資から感情を排除するために、自分なりの「決め事」を作ることです。
例えば、「3か月に一回リバランスを行い資産配分比率を調整すること」や、「30%の含み損が出たら損切りを行う」などです。
ある程度自分なりの決め事があれば、感情を排除した投資行動が行えます。
2.さらなる分散を行う
【複数資産に配分するのみならず、 資産クラス間の相関も調べてさらなる分散を行う】
分散投資は投資における重要なことです。どの程度分散させるかは投資の内容によってさまざまではありますが、とにかくいろんな物を買うようなやり方ではダメです。
例えばA銘柄とB銘柄を銘柄分散を行う場合、A銘柄とB銘柄がほぼ同じ動きをする銘柄だとすればそれは分散投資にはなりません。
分散の効果を高めるためには「相関」を見ましょう。詳しくはここでは省略しますが、「相関係数」は-1〜1の間の数値です。1に近ければそれらの銘柄は同じ動きをする、逆に-1に近ければ正反対の動きをすることを示しています。(ちなみに相関係数0は全く関係ない動きを示します)
分散効果を高めるためには相関係数が1に近い銘柄の組み合わせはやめましょう。
3.コスト意識を高める
【税や手数料など、自分でコントロールできることは積極的に管理する】
投資においてコストも重要です。全く同じ金融商品を購入する場合、取扱金融機関によって手数料は異なります。どうせ同じ商品を買うなら手数料が安い方が良いに決まっています。
ただし、「コストが低い商品=良い商品」ではありません。どこでも同じものを買えるような商品の場合は手数料比較で安いほうを選べますが、違う商品を並べて手数料が安い方を選ぶような選び方はやめましょう。
複数商品から購入先を選ぶ場合は、コストだけでなくパフォーマンスや商品性などもしっかりと把握しましょう。
4.メディア・ダイエットする
【金融ニュースの消費量を減らし、ノイズを除去する】
現代はインターネットやSNSの普及で、かなり多くの投資情報に溢れています。人は、情報に流されやすいです。
例えば、投資系のYouTubeチャンネルも多くあります。著名なインフルエンサーがそこでいろいろな投資を「推奨」してしまっています(本来、投資の推奨は金融ライセンスがないとダメですが、ここでは目をつむります)。
その情報を鵜呑みにして自分にあった投資を行えていない人を多く見ます。投資は人に全て任せるのではなく自分自身に合った投資をするべきでしょう。
5.当初の投資方針を貫く
【長期的視点に立ち、市況の短期的動向に一喜一憂しない】
これも投資において重要なことですが、投資は「長期的」に考えることです。人は誰しも、「早く」「大きく」資産を増やしたいと考えています。
ただし短期的に利益を上げ続けるのは難しく、運の要素も大きくなってしまいます。時には短期的な修正なども必要な場面がありますが、基本的に投資は長期で考える方がベターです。
6.待期期間を決める
【市況が不安定な時に拙速な行動を起こさないよう、様子見の期間を事前に決める】
これは投資行動を早まらないようにするルールです。その時に応じて変わることなので個別銘柄の変動か相場全体の動きなのかで期間は変えると良いでしょう。
例えば、投資先の銘柄が急落した場合、なぜ下落したのかをよく見極めることです。業績悪化により下落したのか、それとも需給(大口売りなど)によるものなのか、それによってその後の動きは異なるはずです。
7.冷静になる
【ストレスを感じている時に意思決定は行わない。冷静になれる方法を事前に模索しておく】
人はストレスを感じている時に誤った行動をします。例えば仕事上のストレスが大きい時は、あえて投資資産を見ないなど、なるべくストレスを減らすことに集中した方が良いです。
むしゃくしゃして変な銘柄を買ってしまった、全部売却してしまった、なんてことをするケースも意外と多くあります。
飲みに行っても良いし、散歩する、サウナに入る、ストレス解消法はいろいろあります。ストレスを感じている時は少しの間なら投資から離れても大丈夫です。
8.投資の動機を思い出す
【投資の動機を思い出しそのための行動をとる。資産拡大は目的ではなく、目的達成の手段】
なぜ投資を行っているかは常に考えておくべきです。投資をするのは資産を増やすためですが、さらに「なぜ投資をして資産を増やしたいか」を頭に入れておきましょう。
良い生活がしたいから、老後資金のためだから、子供に残したいから、人によってそれは違います。その投資の目的によってどんな投資をするかも変わってきますが、それを常に頭に入れておくことで変な投資行動は避けられます。
9.自分の将来像を思い描く
【近視眼的行動を取らないよう、将来像を具体的に思い描き、それを書き留める】
投資の動機や目的に似ていますが、視点が「将来」だということです。前項では、今の自分が将来の自分の目的を考えることですが、実際に投資をして資産を増やした先の将来の自分の姿を思い浮かべましょう。
孫が3人いて自分が増やした資産を渡してあげる将来、豪華客船で旅をしている将来、なんでも良いです。
それにより今の自分が行っている投資の理由もはっきりしますし、ちょっとした相場急変なんか気にならなくなります。
10.現実の直視
【自分の意思決定や判断にゆがみがないかを確認し、「守りの行動ファイナンス」を実践する】
ここまでの9つのルールが身についていればわかることですが、自分の投資行動を客観的に見ることです。誤った投資行動をしてはいけないわけではなく、全て完璧な行動は取れません。
しかしそれは投資行動を客観的に見るクセがついていればある程度は防げます。これらのルールを身に着けられれば、おのずと投資のパフォーマンスも向上するはずです。
「行動ファイナンス」をマスターし、資産運用に活用しましょう。