
エンジェル投資やベンチャー投資をする上で、投資戦略が必要になります。
やみくもに投資するのではなく、 自分の投資戦略のルールを決めた上で投資をしていきましょう。
投資期間の選定
エンジェル投資は普通の投資とは異なり、自分で好きなタイミングで株を売却することはできません。エンジェル投資で利益が確定するのは、投資先がバイアウトするかIPOするかのどちらかです。
投資期間としては、バイアウトの場合は3〜5年が平均と言われています。CVCからの資金調達がある場合など、早い時は最短で1年〜2年程度でバイアウトできる場合もあります(関連記事)。
IPOの場合、すべてが順調に進めば3年でイグジットできたというケースもありますが、たいていは色々な問題も生じるはずなので、5〜10年くらいかけて上場するのが一般的です。
投資期間をまずは5年メドとし、バイアウトしそうな企業を中心に出資しつつ、一発ホームランのIPO企業もいくつかピックアップしていくのが賢い戦略といえます。
大きな金額で入れすぎない
エンジェル投資は気長な投資ともいえるため、自己資金の中の運用資産をほとんどつぎ込むような投資には向きません。
むしろ使い道がないような余裕資金の一部だけに投資するくらいがちょうどよいと思います。また、エンジェル投資は投資ルールに沿って投資したとしても、勝率はだいたい10社に1社か2社程度です。
10社投資したらどうなるか
投資先がどうなっていくかはだいたいパターンが決まっていますので、そのパターンもご紹介しましょう。10社に投資した場合です。
パターン①
1年以内に倒産する会社が7〜8社です。ここで多くの企業は資金繰りや限界を越えられず消えていきます。
パターン②
2〜3年以内にバイアウトする会社が1〜2社です。この場合は10社に投資した金額がプラスになって戻ってきます。2社バイアウトする企業が出れば、それぞれの投資額に対して約2〜3倍程度の利益が確定します。その後は、再度10〜20社を選定し、最終的にホームランであるIPO案件を狙いにいきます。
パターン③
5年前後でIPOする会社が約200社に1社出てきます。いわゆるホームラン案件です。一撃で億以上のお金を手にすることができることもあるので、エンジェル投資を同じスタンスで継続しつつ、その他の投資も含めた資産運用をしていくことになります。
エンジェル投資はコツコツと投資先を選定してホームラン案件を狙う投資です。投資の原則に従い、気長に投資し続ける必要があります。
最適なエンジェル投資の件数
エンジェル投資に限らずどの投資でも、投資先候補とはできるだけミーティングをするべきです。
しかし、いざ様々な企業とミーティングをすると、「あれもいい、これもいい」となりがちですが、あれこれ投資をしていたら資金がいくらあっても足りません。
エンジェル投資の場合、最適な投資先の件数はまずは10社程度にしておくと良いです。一度投資するとある程度結果が出るのに3〜5年かかるため、1年ごとに数社ずつ投資する戦略でもかまいません。
エンジェル投資をしていくうちに投資家の人脈も増えてきますので、まずは2〜3社程度投資をし、人脈から情報を得ながら次の投資先をじっくり考えるのがセオリーです。
もちろん、1年間で10社まとめて投資する戦略でもかまいません。ただし、10社以上の投資はある程度投資になれるまではおすすめしません。
初心者は自分の感性で投資をしてしまい、選定する会社が似たり寄ったりになってしまい業界や業種が偏ってしまうという場合もよくあります。
少ない元手資金でエンジェル投資をするには
少ない元手(数十万〜数百万円)で投資する場合は、いきなりホームラン案件を狙うのではなく、確実にヒット(バイアウト案件)となりそうな会社を狙いましょう。
ヒットとなりそうな会社を選別するには、投資先候補の経営者に直接聞くのが早いです。会社をIPOさせるのを狙っているのか、手堅くバイアウトを狙っているのかをきちんと確認してください。
その答えがバイアウトだった場合、どの辺りの企業が買収してくれる可能性があるのかも質問してみましょう。
論理的にきちんと説明できる経営者も少なからずいますので、そういう会社をまずは選定します。または、CVCが出資を検討しているという旨の回答があれば、そこも要チェックです。