
突然ですが、あなたは「お金持ち」と、「富裕層」の違いがわかるでしょうか。
どちらも、たくさんのお金を持っていることに変わりありませんが、「お金持ち」はただ現金をたくさん持っているだけ。「富裕層」は、不動産や株式などによって、世代を超えた富や繁栄を手にしています。
世界的に有名人が群がっている
2010年前後、この二つの違いの重要性に気づいたのが、芸能人やプロスポーツ選手たちです。
日本でも有名人がエンジェル投資をしているというニュースは、ちらほら話題になっています。プロサッカー選手の本田圭佑さん、長友佑都さんや、お笑い芸人のロンドンブーツ1号2号の田村淳さんなどが、スタートアップにお金を投じていることはよく知られていることです。
しかし、ハリウッドなどでは10年以上も前からこの流れが加速しています。
クラブハウス (Clubhouse)、ウーバー(Uber)、エアービーアンドビー(Airbnb)、スポティファイ (Spotify)、これらの企業には、米国の有名人の投資家たちが上場前からその株式を保有しています。
背景にあるのは、一銭でも多くの現金を稼ごうという「キャッシュ文化」から、プライベートエクイティに投資することで、長期的な資産をつくろうという「エクイティ文化」へと向かう、価値観のシフトがあります。
50セントの大成功
人気ラッパーの50セントは、飲料メーカーへの株式投資によって、100億円以上のリターンを一夜にして手にしています。
彼はとても賢く、人気のドリンクの開発企業と仕事をする際に、現金のギャラではなくてその会社の株に投資させてほしいと交渉したからです。
こうして株式を受け取ると、ラッパーとしての知名度をフル活用してコラボレーションドリンクを開発。さらにはテレビコマーシャルにも出演することで、このブランドを一気にスターダムに押し上げていったのです。
そして2007年、コカ・コーラ社はこのエナジーブランドの成長に注目して、およそ4億ドルで電撃買収をしました。株式を持っていた50セントは、わずか3年間で100億円以上の報酬を手にしたというのです。
「俺は大カネ持ちだ、使い切れねえほどのカネがある」。50セントはその後の作品において、先にお金をもらうのではなく、先に金をはらって株式をもらったことで、とんでもない富を手に入れたと記しています。
「やっちまった。彼みたいに有望なスタートアップの株式に投資をすれば、現役を引退しても、食 うことに困らないような資産をつくれるのに」。
これまで現金のギャラでしか報酬を受け取ってい なかった俳優は、プライベートエクイティを持つ意味の大きさを感じました。
有名俳優のアシュトン・カッチャー
人気俳優としてブレイクしていたアシュトン・カッチャーは、50セントのニュースを知って衝撃を受けたらしいです。
それからカッチャーは、 ベンチャー投資の知識を本格的に学んでゆき、起業家たちがデモンストレーションするような、テックイベ ントにも多数姿を現すようになりました。
そしてなんと、自らベンチャーキャピタルを立ち上げ、続々と有力ベンチャー企業に投資を始めました。2016年4月、経済誌のフォーブスでは大成功したアシュトン・カッチャーが表紙を飾り、こんな見出しが出ました。
「テック界のトップ投資家たち:ウーバーからエアービーアンドビーまで、3000万ドルを2億5000万ドルにした男」
そこではセレブとして、自分の知名度やファンへの発信を通して支援できる企業を戦略的に狙っていたことも明かされています。
今では、これらの成功に続けとばかりに、アメリカだけでなく日本でも、多数の有名人たちがプライベートエクイティへ投資をしています。
有名人には特別投資枠が与えられる
スタートアップの創業者たちも、こうした有名人たちがもたらす影響力を利用するようになりました。
ツイート一つ、ユーチューブ動画一つで大きな注目を集められたり、電話一本で大企業の経営者などと話をすることができる。そんな彼らに対して、特別に投資枠を用意するという企業が増えているという構図です。
2021年年初から話題になった音声SNSのクラブハウスも、大量の有名人たちがおしゃべり をすることで一気に人気に火がつきましたが、裏側では100人以上の有名なインフルエンサーたちに少量の株式をもってもらうことで、このメディアの応援者になってもらい、成長を狙ったと言われています。
つまりSNS時代は、有名人の投資と最高の相性にあるわけです。
芸能の世界で生きている人たちは、輝かしいスポットライトが当たる人生の時間を使って、生涯にわたる利益をもたらすプライベートエクイティに投資をすべきだと気づいています。
そうじゃなければお金持ちにはなれても、本当の富裕層にはなれません。
投資先の判断は自分で
有名人が広告塔になってマーケティングを行うことは様々な業界でも一般的です。
しかし、投資をする上で注意をしたいのが、「あの俳優が言ってるから大丈夫だろう」「好きなYoutuberだから全部信用できる」などというように考えてはいけません。
投資には損失の可能性があります。もし、その人の言うことを何も考えずに信じて投資を行い、損したとしてもその人はあなたのことは知りません。その時にどうすれば良いか、継続保有か損切か、その判断は自身でするしかなくなってしまいます。
有名人だから、YouTuberが言ってたから、などという理由だけで投資判断を下さないようにしましょう。
どんなに損失が出ても自分で全て判断できるというのであれば良いですが、そうでなければ金融の専門家に最初から相談するべきです。