
人によって適した資産運用法はその人がどの資産クラスに属するかによってかなり変わってきます。そこで、資産ごとにいくつかの層に分け、行うべき資産形成・運用についてお伝えしたいと思います。
- 1,000万円以下
- 1000万~3000万円
- 3,000万~1億円
- 1億~5億円
- 5億円以上
「分散効果の利用」はどの層でも投資の原則
資産運用には誰もが従うべき原理原則があります。資産形成層は多くの場合、投資の初心者でもあるでしょうし、この原則をなおさら忠実に守る必要があります。
その原則が「分散効果を利用する」というルールであり、さらにこの「分散」にも、
- 銘柄の分散
- 時間の分散
という2つがあります。前者は市場、地域、銘柄をできるだけ幅広く振り分けることを意味し、これをすることでリスクとリターンのバランスが最適化されます。
後者は、一度に投資をするのではなく変動する金融商品を時間を分けて買うことを意味します。毎月積立投資などを行い、リスクを低減することができます。
1,000万円以下の資産形成層
まず資産総額1,000万円以下の「資産形成クラス」に関して言えば、オーダーメイドの金融商品やレバレッジをかけた効率的な運用、といった投資は残念ながらまだできません。
したがってこの層の場合、そうした運用法をなるべく早くできるようにするためにも、リスクを軽減しながら着実に資産形成していくしかありません。
もちろんハイリスクな運用に成功すれば飛躍的に資産を増やすことも不可能ではありません。実際に個別株式でも数年で価値10倍になるような「テンバガー銘柄」も存在しますが、こうした運用をするには当然それ相応のリスクを覚悟しなければなりません。
また昨今はビットコインをはじめとする暗号資産が注目されており、これに投資して元手を何十倍、何百倍、さらにそれ以上増やすことができた、などといった話を聞くこともあります。
とはいえ、現時点でリスクを極力抑えながらリターンを追求したいのであれば、株式や債券、為替、リートなどの伝統的資産と言われる金融商品を投資対象にしたほうが無難かつ合理的であるとは言えます。
そしてそれらを無理のない範囲でできるだけ分散する、特に時間を分散するような投資手法が良いと思います。具体的には毎月積立や大幅変動時に購入するなど、時間を分けてインデックスファンドを購入すると良いでしょう。
資産形成層にとって種銭は何より大切なものであり、いかにこの種銭を減らさず利益を追求するかを考えなくてはなりません。
テンバガーの銘柄を探したり、暗号資産によって急ピッチな資産増加のリスクを取ることは余裕資金でやる分にはいいですが、余裕資金がないなら、まずは原理原則に基づいた資産形成を目指すべきです。
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資産1,000万円を超えてからの運用法
①資産1000万~3000万円
こうした運用をコツコツ続けて資産を1,000万〜3,000万円の水準まで増やすことができたなら、今度は大口投資家向けの債券運用などに投資ができるようになります。
また資産3,000万円以下ではまだプライベートバンクなど富裕層専門の金融機関と取引するのは難しいです。
しかし、大口投資家向けの商品を組み合わせて購入することができるため、効率的に利回りも追求することができます。例えば、最低500万円や1,000万円から購入できる債券やプライベートファンドを複数購入するといったケースです。
これらを、1,000万円以下のケースでも行った手法、つまりインデックスファンドやETFへの投資を、コストを最大限下げながら行う運用法と並行して行いつつ、さらなる資産形成を目指したい層です。
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②資産3,000万~1億円
資産3,000万〜1億円の段階に届いたなら、まだ選択肢は少ないものの富裕層向けに提供している金融業者に資産運用を託すことができるようになります。
大口の社債や、オーダーメイド型の仕組債なども購入できるようになります。また、プライベートエクイティ投資も一部可能となります。
今まで行ってきたインデックスファンド等による運用をベースにこういった富裕層向け金融商品の比率を徐々に上げていくべき層です。
ただし、この層にとって資産の「流動性」について最優先にすべきであるため、引き続きファンドや投資信託の比率は高めた方が無難です。
(関連記事:プライベートファンド投資とは)
③資産1億~5億円
資産1億〜5億円以下の段階まで来れば、いわゆる富裕層の仲間入りです。外資系のプライベートバンクなどの利用はまだできませんが、日本国内で提供されているほとんどの金融商品を購入することができます。
これにより、ハイイールド債券やオーダーメイドの仕組債、投資一任運用、さらにはプライベートエクイティへの分散を効かせた投資も可能になります。
富裕層向け金融商品の多くは、最低5,000万円や1億円のものです。また個人投資家向けだけではなく法人向けに提供されている債券やファンドもこの層になれば購入する手段があります。
最低限の流動性を確保しつつ、リスクを分散させながらこういった商品の比率を高めていきましょう。
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④資産5億円以上
そして資産5億円超の超富裕層になると、世界にあるほぼ全ての金融商品を活用することができます。
完全オーダーメイドで投資一任口座を組んでもらうことができるようになるほか、ほぼ全ての投資対象において、自分オリジナルのファンドや債券を作ることも可能になります。
この層になると、資産運用の意味合いが変わってきます。今までは「資産を増やす」ことが目的でしたが、「資産を守る」ことが重要になってきます。
金融商品の運用に加えて、資産管理会社を作ったり税金対策をしたりなど、総合的な資産の管理をする必要があります。
それらを自身で行うことなく専門のパートナー、文字通り「自分だけのプライベートバンカー」を雇っている人が多いというのがこの層です。
(関連記事:富裕層を目指すポートフォリオ②1億円を5億円にする方法)
私も、早くこの層にたどり着きたいところです。