
プロのエンジェル投資家だけが知っている、将来有望な会社を見分ける7つのポイントがあります。このポイントを知っていればエンジェル投資の勝率が格段に上がり、失敗しにくくなります。
投資先を探したいのであればこちらの記事へ(エンジェル投資先の見つけ方:誰でもできる7つの方法)
①ビジネスアイデアよりも「人」
投資家は、投資を決定する際にどうしてもその会社のビジネスモデルやアイデアを中心に考えてしまいます。これは、大きな会社に投資するのであれば重要なことですが、エンジェル投資の場合は違います。
なぜならエンジェル投資の場合、投資を検討している会社はまだシード段階であり、ビジネスモデルが現実的に出来上がってないからです。
ほとんどの場合、まだアイデアレベルで実際の商品やサービス、プロダクトなどは完成していません。その段階のビジネスモデルは絵に描いた餅に過ぎません。実際にはそのサービスができない可能性があるからです。
エンジェル投資の場合はビジネスアイデアに投資するのではなく、「人」に投資するのが重要です。
具体的には以下のような観点で見ると良いでしょう。
- 起業家の素養があるかどうか
→やろうとしてることへの実体験、業界経験などが豊富 - 早く深くやり切れるか
→誰でもできることではないことをやる - 柔軟性
→ビジネスモデルに拘り過ぎはだめ。時には速やかにピボット
このように個人能力の高い人を見つけることが重要です。重要なのは、エンジェル投資成功の第一歩は、ビジネスモデルよりも人で判断することです。これを頭に入れておきましょう。
②コストコントロールを重視する
どうしても投資家は将来的な売上高に注目してしまいます。起業家も資金を調達したいがために、「1年後には黒字化します」「3年後の売上100億円を目標にしています」「5年後には上場します」など、大げさに説明してしまう傾向にあります。
結論からいえば、そのような話は信じるに値しません。もちろん、きちんとした予測に基づいて売上を算出するのは素晴らしいことですが、ビジネスはそんな予定どおりにはいかないものです。
売上や利益予測よりも、投資するからには「コストコントロール」が重要なポイントです。コストコントロールとは簡単にいえば、会社の1年間の費用がどのくらいかかるのかを正確に記した数字のことです。
エンジェル投資で重要なことは、その会社がコストコントロールできているか、つまり、いつ何にお金が必要かを正確に理解し、投資されたお金を正しく使えるのかを確認することです。
売上が様々な事情で上がったり下がったりするのは、ある意味仕方ないことです。しかし、コストに関してはきちんと予測し、確実にコントロールすることができるはずです。
③出資メンバーの重要性
エンジェル投資で失敗する一番のパターンは資金が尽きて倒産してしまうことです。いかに万全の準備をしていても、思うように売上がつくれず資金不足に陥る事態はどうしても起こり得ます。
その場合、会社が生き残るためのアクションとしては、再度資金調達をします。その際に、すでにエンジェル投資してくれている方が再度出資をしてくれるなら、余計な株主が増えなくてすむため非常にスムーズに再出発ができます。
そのため、自分が出資しようとしている会社への他の出資者を確認することは重要です。今までに出資をして成功している方やプロの投資家の方が出資している会社は安心だと言えます。
④PRできるかどうか
BtoCなどの消費者向けのビジネスの場合は、そのビジネスを広く「認知」させることが成功の決め手になります。
世の中の消費者のほとんどが「知っているもの」しか買いません。私たちは、CMで観た、テレビで観た、誰かから聞いた、など、知っていることでその商品に安心感を覚えます。
エンジェル投資をしようとしている商品が人々に認知されやすい商品かどうか。つまりテレビやメディアを使ってPRできるかどうかを確認することは、そのビジネスが成功するかどうかを判断する指針にもなります。
⑤CFOと資本の重要性
エンジェル投資を決める基準として、その会社の資本政策を理解する必要があります。資本政策とは簡単にいえば、どのくらいの時期にどのくらいの売上になるか、そこまでにどのくらいの予算が必要なのか、その必要な予算をどのタイミングでいくら集めるのか、を細かくまとめたもののことです。
それを行うのがCFO(最高財務責任者)になります。CFOの力量次第で、ベンチャー企業の命ともいえる資金調達の成否が決まります。
まずはCFOが資本政策の内容の資金調達をどこまでリアルに描けているのかをきちんと確認してみましょう。資金が調達できている限りは会社がなくなることは基本的にありません。
⑥投資する業界を絞る
エンジェル投資を求めている投資先は様々な業種にあふれています。これらすべての業界の方とミーティングをしていくのは、その業界の知識を詰め込むだけでも大変な労力がかかるため、自分が興味のある業界に絞るのが得策です。
色々とビジネスがありますが、自分の知っている業界に最新の新しい技術が組み合わさったビジネスを探すことがヒントとなるはずです。
自分の分野だからこそ、そのビジネスの強みがよりわかります。得意な分野をいくつかエンジェル投資の候補に入れておくと良いでしょう。
⑦バリュエーションに着目する
投資を検討している会社が、すでに数名のメンバーがいたり、商品やサービスを展開していたりする場合、着目すべきはその会社のバリュエーションです。バリュエーションとは会社の価値、つまり今その会社を売るとどれだけの値段がつくのかということです。
厳密に計算するには会計士などが監査をして算出していくのですが、スタートアップの会社だとそこまでする必要はありません。会社が算出した簡単な計算をチェックしておけばよいでしょう。
またその際に経営チームをチェックすることもバリュエーションの参考になります。例えば彼らが以前ⅠPOした会社にいて、そこからこの会社に転職したといった経歴なら、この会社の価値は当然上がります。また、経営者や役員が過去に会社を何個かつくっているとか、エグジット経験があるとかでもかまいません。
株式市場もそうですが、会社の価値、すなわち株価が上がるのは期待度が上がるときです。まだ何者でもなくても、期待度が上がれば会社のバリュエーションも上がります。そういう意味で、経営チームをチェックすることは投資判断として有効です。