
債券投資は基本的にほぼほったらかしで資産運用ができる手段であり、定期的に決められたキャッシュフローを生み出す投資手法です。
債券投資の中でも「ハイイールド社債(高利回り社債)」に投資することは、日本の個人投資家の中ではあまり行われていませんが、今回はそのハイイールド債券についてお伝えしていきます。
「ハイイールド債券」とは
ハイイールド債券は、格付けでBB(ダブルB)以下の債券のことで、利回り(クーポン)が高く設定されている反面、信用リスクが高いため「ジャンク債」などと呼ばれることもあります。
この運用に際して行われていることは、ハイイールド債券を複数銘柄に分けて保有することや、ファンド(ハイイールド債券をいくつもパッケージ化した投資信託)を購入することで、信用リスクを分散させリスクを低減することが可能です。
債券市場には株式取引所のような公開市場はありませんが、市場規模は株式市場よりはるかに大規模に取引されています。特に、米国のシェアが圧倒的であり、日本を含む世界中の債券は主に米国で発行・取引されています。
実際にハイイールド債券を発行している米国企業の顔ぶれを見れば、パソコンメーカーの デル(BB+)、食品メーカーのデルモンテ(B)、ジーンズメーカーのリーバイス(BB)、ハンバーガーチェーンのウェンディーズ(B-)、タイヤメーカーのグッドイヤー(BB-)などです。
日本企業では、ソフトバンクグループや楽天などの有名日本企業の社債もハイイールド債券に入ります。
また、発行体格付けがBBBだとしても、発行する債券の種類によってその債券格付けがBB以下のものもあります。金融機関が発行する「CoCo債(関連記事)」や事業会社が発行する「劣後債」もハイイールド債券の一種です。
これらの銘柄が低い格付けなのはそれなりに事情があるからなのはもちろんですが、とはいえ発行企業名を見れば現実にはそこまで差し迫ったリスクがあるわけではなく、複数銘柄の買えばなおさらリスクを分散できる、ということです。
米ドル建てハイイールド債券への投資が有望
債券においては米国での取引が圧倒的です。金利情勢や財政の問題はあるものの、世界最大の経済大国としての地位は依然として揺らいでなく、通貨としても米ドルが世界の基軸通貨として相対的に優位な時代は、当面続いていくと考えられます。
そのため、投資は一部ドル建てで行い、資産もドルで持つことが必要になってくるでしょう。むしろ、世界の大半の金融商品が米ドルベースであることを考えれば、本当はいま現在でもそうすべきであるとさえ言えます。
日本で生活している投資家の中には、金融商品は円ベースのものが圧倒的に多いと感じているかもしれません。しかしそれは、自国に偏重しがちなカントリーバイアスがかかっていることや、金融機関が米ドルベースの商品を日本国内では円建てにして売っているからであって、その分コスト高にもなっています。
理由①長期パフォーマンス
ハイイールド債券は、通常の債券よりは値動きが大きいものの、利回りが高く設定されています。つまり、長期保有のメリットが他の金融商品より大きく、時間を見方につけた投資をすることが可能です。
実際に過去のパフォーマンスを見ても、他の資産より長期的に良好なことがわかります。その反面、株式のように短期的に大きな利益を上げることは難しいため、短期売買などには向きません。
理由②リスク・リターン
下の図に示したように、米国のハイイールド債は、米国株式や米国リートなどと同程度のリターンが期待できる一方、ほかの商品に比べてリスクは限定的です。
一般的にリスクとリターンは完全比例と言われていますが、資産ごとに見てみると必ずしもそうとは言えません。同じリスクを取るなら高いリターンの方が良い、というのは誰しもがわかることです。
理由③金利上昇に強い
さらにハイイールド債券は、米国の段階的な利上げのリスクに対しても、相対的な強みがあります。そのことは過去の米国の金利上昇局面におけるハイイールド債券パフォーマンスからも裏付けられています。
米国政策金利の引き上げ観測によって米国10年国債の利回りが上昇した局面では、一般的に債券価格は下落します。格付けの高い社債や国債などはほぼ金利で債券価格が動くため金利上昇時は悪化します。
しかし、ハイイールド債券は、金利の影響よりも発行体の信用力の影響の方が強いことや固定されたクーポンが大きいのです。
そのため、金利上昇局面でも景気の大幅な悪化が無い限りは、ハイイールド債券がさかんに買われる、ということが起きます。
以上を整理すれば、米ドルベースで債券、特にハイイールド債券を中心とした資産ポートフォリオを構築することが、リスクを最小化し確実にリターンを得ることのできる運用法、ということになります。
ハイイールド債券の具体的な買い方や、債券投資でほったらかし運用を行いたいという方はお問い合わせください。