
レバレッジの存在、そしてどのようなレバレッジのかけ方をするか。それこそが、日本と海外のプライベートバンクの運用手法の違いです。
「レバレッジ」とは
「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」など、レバレッジは投資の世界では頻繁に使われる言葉ですが、これはもともと「テコの原理」のことです。
テコを使えば非力な人でも重い石を持ち上げることができるように、借り入れをうまく利用することで、少ない手持ち資金を元手にその何倍ものリターンを得ることができます。
これを私たち投資の世界に生きる人間は「レバレッジの効いた」状態と表現しています。
金融商品に担保価値がある
一般に日本の金融商品は、企業の発行する債券であろうと、それらをパッケージにした投資信託(ファンド)であろうと、この「レバレッジをかける」ということが海外と比べると、とてもやりにくいです。
たとえば日本に住む人が1億円で日本の金融機関からファンドを買おうとすると、普通ならば買えるのは1億円のファンドだけです。
これは日本の金融機関がファンドに対して、不動産がもっているような担保価値を認めていないからです。
その点、海外のプライベートバンクは、ファンドや債券、保険などの金融商品に対して高い担保価値を認めています。
そのため、ファンド購入者は自分が買ったファンドを担保にさらにプライベートバンクから融資を受けます。そして、元手が1億円しかなかったのにそれ以上の額のファンドを購入する、といった投資が可能になるのです。
ファンドを担保にファンドを購入する場合
仮に海外のプライベートバンクから2,000万円のファンドを5本、合計で1億円分買ったとします。
プライベートバンクはそのファンドを担保としてさらに1億5,000万円を融資してくれるので、購入者はさらに1億5,000万円分のファンドを買うことができます。
この場合、元手が1億円しかなかったのに最終的に2億5,000万円分のファンドが買えているので、このケースでは2.5倍ものレバレッジが効いているというわけです。
なお、この「レバレッジ率」は、担保となる金融商品により異なり、その担保価値を元に各プライベートバンクが倍率を決めて計算しています。
融資の利息をファンド・債券の運用で賄う
このように、プライベートバンクから融資を受けることで比較的少ない元手で高利回りの投資が可能です。
しかし、これだけであれば日本の信用取引やデリバティブ取引といった高リスク投資と同じになっていまいます。
プライベートバンクから融資を受ければ当然その借入利息が発生し、その負担は投資にとって軽いものではありません。
仮に、この金利が4%であるとします。そして、1億円相当の担保で2.5倍のレバレッジ投資をするとしたら総額2億5,000万円の投資です。
プライベートバンクから1億5,000万円を借り入れることになりますが、この場合金利の4%が掛けられ、年間で600万円の利息を払わなければいけないことになります。
いくらレバレッジ運用ができるとはいえ、このコストが毎年生じることを思うとありがたみも薄らいでしまう、という人は多いはずです。
だからこの利息支払いのための解決策もあらかじめ用意する必要があります。
つまり、キャッシュフローを生み出し、かつある程度その金額も固定されているような金融商品に投資すればよいのです。具体的には債券や債券型ファンドが良いでしょう。
そのような債券などを購入し、それを運用することにより受取可能なキャッシュフローで借りた利息を賄ってしまえばよいのです。
リスクをコントロールすること
いくら元手を増やしてより利回りの高い運用ができるとはいえ、リスクを考えなくてはなりません。
レバレッジをかけて株式を購入することは日本でも信用取引として可能です。また、レバレッジをかけて通貨を購入するFXも可能です。
これは、ここで紹介したプライベートバンクが行うレバレッジ運用とは大きく異なります。レバレッジをかけて値動きの大きい株式や通貨に投資するのはリスクが大きすぎます。
効率の良い方法は、基本的には債券に投資するということです。このあたりの具体的な投資手法などはまた別途ご紹介させていただきます。
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