
富裕層は、プライベートバンクなどを通じてレバレッジを使った投資を行っています。日本では意外と知られていませんが、多くの富裕層がこの仕組みを使っています。今回はその手法の一例をご紹介します。
レバレッジを使った投資の考え方
レバレッジ投資としてまず思い浮かぶのは、信用取引やレバレッジ型投資信託・ETFという方が多いと思います。イメージとして、「リスクが高い」「怖い」と思われるかもしれません。
確かに、FXなどは元本に対しての動きが1だとしたら3倍のレバレッジをかけて同じ投資をすれば、3動くことになります。短期的に大きな利益を狙いやすい分、投資元本以上の損失の可能性もあります。
しかし、富裕層が使うレバレッジ投資は少し違います。
レバレッジ投資を行うと、投資元本が実質的に増えることになりますが、その分リスクを少なく取ります。
例えば、元本に対して1動く投資を、3倍のレバレッジをかけて0.5動く投資をします。そうすると、利益になった場合、取引自体のリスクは半分(1→0.5)になりますが、レバレッジ3倍になっているので実質的に元本に対する利益は増えています(1→1.5)。
このように、富裕層は資産を有効活用した投資を行っています。
少し具体例を挙げてみます。
現金を担保にレバレッジをかける手法(信用取引、FXなど)
まず、少額からでも取引可能で、よく知られている投資手法が「信用取引」「FX」などです。
個人投資家でも行っている方は多いのではないでしょうか。これらの手法は、短期的に少しの利益を狙うようなスウィングトレードなどで活用されています。早ければ1日単位でこまめに利益を積み重ねる手法などがあります。
レバレッジをかけるために結構高い金利を支払う必要があるため、長期取引には向いていません。やるなら短期です。
なので、あまり富裕層はこのような短期取引は行いません。日中リアルタイムで取引ができる時間的余裕のある方ならできると思いますが、そういう人は少ないと思うので資産運用という意味では少し違うのかもしれません。
株などを担保にレバレッジをかける手法(証券担保ローン)
もうひとつは、保有する金融資産を担保に資金を借り入れ(レバレッジ)、運用資金そのものを増やす方法です。
金融資産は、担保として価値を活用することができます。変動が低い金融商品ほど担保掛目は高くなり、国債ならば80%、上場株式などでも60%程度の掛け目で資金を借り入れることができます。
これらの担保は回収可能性が高く、今のような借入金利が低いときは、比較的低金利での借り入れが可能です。
この結果、担保資産からの運用収益を確保したうえで、レバレッジを掛けた資金で運用と借入の差額を得ることができるわけです。このようにして運用資金を増やせば、一取引ごとの利回りはそれほど高くなくても、自身の運用資金からみた運用利回りを大きく高めることができます。
最初に書いたように、取引ごとのリスクを下げ、投資全体の利益を増やすことができます。自社株などを保有している上場企業オーナーはほぼこの手法を行っています。
不動産を担保にレバレッジをかける手法(不動産担保ローン)
不動産投資家にはよく知られた手法ですが、保有している土地やマンションなどを担保に現金を借り、それを投資の原資にすることができます。
私の知り合いでも不動産を担保に、新たな不動産物件を買い、不動産収入を増やし続けている人もいます。
この手法は不動産を所有している人だけにしかできない手法ですが、不動産は価値が変わりづらいので銀行からも担保価値として評価されやすくレバレッジをかけやすいです。
ただ、不動産の欠点は「流動性」なので、流動性の低い不動産を担保に、流動性の高い金融商品で利益を狙う。これも「資産の有効活用」です。
過度なリスクは禁物
このように、保有資産を有効活用できるレバレッジ投資の手法ですが、最も気を付けれければいけないのがリスクの取りすぎです。
実質的な元本が増える分、担保にしている資産、借りた現金で投資している資産、両方とも下落した場合は大きな損失が出ます。
リスクをうまくコントロールした上でレバレッジ投資を行う。これを忘れてはいけません。