
まるでネットで買い物をするかのごとく、自分が気に入ったスタートアップ企業を物色して、ワンクリックで投資ができる。そんな株式型クラウドファンディングと呼ばれる新サービスが、 欧米はじめ日本でも徐々に広がっています。
エンジェル投資は限られた人のみだった
スタートアップ企業への投資(エンジェル投資)が一般的であるアメリカであっても、以前はシリコンバレーなど特殊なエリアに住んでいたり、全人口の上位 2%の富裕層だけしか急成長するスタートアップ投資のチャンスにありつけませんでした。
つまり一般人は、ながらくハイリスクハイリターンの未上場スタートアップの投資の「蚊帳の外」 にいました。
おそらく現在の日本は未だこの状況にあり、エンジェル投資・スタートアップ投資・プライベートエクイティ投資というようなものはごく一部の人にしか開放されていません。
ところが最近では、アメリカだけでなく日本でも誰もがオンラインでエンジェル投資ができるようになってきています。超富裕層じゃなくても、将来性のあるスタートアップを見つけて、彼らの成長に賭けることができます。
アメリカにおいては、500以上のスタートアップが、合計で5億ドルを集めたということです。すごいですね。
日本でも法整備が整い、株式型クラウドファンディングのサービスが出始めています。しかし、日本ではプライベートエクイティ投資というよりかはかなり小さい案件しかなく、本格的に広まっているという状況ではありません。
未だに大型スタートアップや上場直前のレイトステージ企業などへの投資はかなり限られていると言えます。
本当に有望な案件はクラウドファンディングにはない
ここまでお読みいただいた方の中には、「本当に有望なスタートアップ企業がクラウドファンディングなんかでお金を集めるのか」 と思う人もいると思います。
確かに一理あります。有望なスタートアップは基本的にお金集めに困らないため、結果としてクラウドファンディングが、ポテンシャルの低いスタートアップしか集まらないリスクは高いです。実際に日本ではまだこれといった結果も出ていません。
いくらクラウドファンディングの運営会社が厳密な審査をしているといっても、それが必ずしも、未来のグーグルやフェイスブックになるとは限りません。
しかし、どんなにお金がある有望なスタートアップでも、いまや熱烈なファンコミュニティをつくることは最重要テーマの一つであり、ここが株式型クラウドファンディングが注目されている最も大きなポイントです。
例えば、もしTikTokの人気クリエイターが、TikTokの上場時に株を持ったらどうか。おそらくもっと精力的にコンテンツをつくるかもしれません。こうした熱烈なファンを、金銭リターンも共有する最強の応援団にする可能性があるのが、未上場株を薄く広く売りに出すクラウドファンディングのようなサービスでしょう。
プライベートエクイティ投資の選択肢が拡がる
こうしたサービスから継続的な利益が生み出されるか、まだ不透明ではあります。
しかし、この株式型のクラウドファンディングの世界では、これまで一部の人たちが独占していたスタートアップ投資が、少しずつでも一般的になっていくことが期待されます。
プライベートエクイティ投資では、スタートアップ段階へのエンジェル投資が最もハイリスク・ハイリターンではあるものの、企業の経営に関わることができ、夢に向かって伴走できるというメリットがあります。
これは上場株やレイトステージのプライベートエクイティではなかなか難しいことです。
「資産運用」というよりは「夢への投資」と考えて、余裕資金の一部の一部だけ回してみるのも面白いかもしれません。