
最近の金融市場の不安定さから、非金融分野の実物資産への投資が急増しています。
非金融資産のなかでもメジャーなものは、アート・アンティークコイン・宝石などですが、ここ数年、「高級ワイン」への投資が注目されています。
まだ日本では投資対象というよりかは、コレクションの一部としての側面が強いです。
そんな高級ワイン投資について最近の状況をまとめてみました。
過去最高の売上
世界最大手の高級ワイン商社であるイギリスのボルドー・インデックス社が、売上を急伸させています。
加速するインフレのヘッジ目的で、投資家がこぞって希少なビンテージワインを買い求めているからです。
ボルドー・インデックスの2022年1〜6月期の売上高は8000万ポンドと、前年同期比37%増加しました。このまま行けば、通期で21年12月期に記録した過去最高の1億2600万ポンドを上回る公算が大きいようです。
取引が大幅に増加
増収の主なけん引役となったのは、同社がネット上で運営するワイン取引プラットフォーム「ライブトレード」です。22年1〜6月期にライブトレードでの売上高は前年同期比53%増となっています。
ライブトレードでは600本以上のビンテージワインが取引されており、値段は約650ポンドのものから5万ポンド以上するものまでいろいろな価格帯のものが取引されています。
ボルドー・インデックス創業者のギャリー・ブーム氏は「資産クラスとしてのワインとウイスキーにこれほど関心が高まったことはない」と話しています。
現在、欧米ではインフレ率が約10%近くになっており、投資家は、そのインフレ率より高いリターンを求めていることが理由の1つです。
ワインは、他の実物資産への投資と同じように、インフレに強い実績が証明されている現物資産です。そのため、近年はワイン投資の価値がどんどん知られるようになっています。
リターンはアートやアンティークコインを越える
「ラグジュアリー投資指数(luxury investment index)」を見ると、21年は投資としての実物資産の中で高級ワインのパフォーマンスが最も高く、リターンが16%と、他の実物資産であるアートやアンティークコインを上回っています。
その主な理由は、
- 供給に限りがあること
- 時間の経過に伴って質が上がり続けること
- 富裕層が世界的に増えていること
などが挙げられます。
単なるバブルなのでは?
2022年に入り、他の実物資産と同じように高級ワインも「超高額な取引」が相次いでいます。
7月には、2017年産のシャンパン「シャンパーニュ・アベニュー・フォーシュ」(マグナムボトル)が、ラベルに使われたイラストの知的財産権などのNFT付きで売りに出され、250万ドルという過去最高値でイタリアの投資家が購入しています。
また、同7月、英アードベッグ蒸留所で作られた希少なスコッチウイスキー1樽が1600万ポンドでアジアの個人投資家が購入しました。この取引額は、世界最高記録の100万ポンドを一気に超えた価格です。
今後はどうなるのでしょうか。
個人投資家の関心の高まりと、一般消費者の高級品への嗜好により、希少価値のある高級ワインの市場は今後も活況が続くとの見方が多いのは事実です。
しかし、インフレヘッジ策としてワインを購入する富裕層は多いものの、現状の物価上昇により生活の余裕がなくなり、手を引く人が増えるという可能性もあります。
日本でワイン投資をするには
日本で高級ワインへの投資を行うには、①販売業者から直接購入する、②ワインへ投資するファンドを購入する、のどちらかでしょう。
日本の業者でも、高級ワインを国内外から仕入れ、それを投資家や収集家に販売する業者が多く存在します。オークション形式でも行われています。
しかし、ワインの目利きが必須です。よっぽどワインに詳しい人でない限りは手を出せないでしょう。
ワインへ投資するファンドは、かなり希少ですが存在します。海外のワインファンドへ国内から投資をすることになります。他のプライベート・ファンドなどと同じように投資先の目利きは専門家が行ってくれるので特別な知識は必要ありません。
私は、飲むのは好きですが目利きはできません。どなたか詳しい方いらっしゃれば是非教えてください。