
プライベートエクイティ投資をするにあたっては、直にその企業に出資をするシード・アーリーの段階と、PEファンドを通じて投資することの多いミドル・レイト段階があります。
「プライベートエクイティ」や「PEファンド」などといった投資自体あまりご存じの方は多くないのですが、さらに知られていない事実として、日本のPEファンド(投資家の資金を集めてファンドが間接的に投資するファンド)の投資手法としては「ブラインド・プール型」が主流ということです。
投資先が決まっていない「ブラインド・プール型」
名前の通りブラインドプール型は、投資家がファンドに出資をする時点では投資先の企業がわからない、未定のことです。
株式投資などをされている方は投資先を選別して投資することが当たり前なので、「あり得ない」と思われるかもしれません。
しかし、日本におけるプライベートエクイティファンドは、先に投資家から資金を集め、それを元に徐々に銘柄を組み込んでいくというのが主流です。年金や金融機関向けのファンドや、個人富裕層向けの最低投資金額1億円といったファンドがこの手法をとっています。
この手法を取るのは、プライベートエクイティの他に、私募REITやインフラファンドなどが多いです。
投資家の意思統一が必要ないため、機動的な運用をすることができ、また、多くの投資家から巨額の資金を集めて投資することも可能になることがメリットです。
一方で、個別の投資先について投資家が取得可否の判断を差し狭むことができないというデメリットがあります。
ブラインドプールは世界中の多くの国で投資戦略として推奨されていません。 米国では、証券取引委員会が現在、民間企業を公開する手段としてブラインド型に反対しています。
「ターゲット型」
一方で、ターゲット型ファンドの場合は、そのファンドが投資をする企業が明確になっているものを指します。例えば、「未上場企業A社に投資をするファンド」といったように投資をする企業がはっきりしています。
特定の一社のみに全額投資をする場合は、投資家にとって直接その企業に投資をするのと同じような投資効果があります。
「わかりやすい」「投資判断がしやすい」といったメリットがあるため、基本的にターゲット型ファンドの良質な案件が出たら即完売というケースが多いです。
また、一社だけでなく複数社に投資をすることが決まっているターゲットファンドもあります。その場合、投資のリターンやリスクは分散されますが、特定のテーマに絞った投資をすることができます。
ブラインドよりターゲットで
個人投資家がサテライト運用(ポートフォリオのリスク分散のための運用など)でプライベートエクイティ投資をするような場合ですと、中身の見えないブラインド型よりも投資先がはっきりしているターゲット型の方をお勧めします。
私のもとにもいろいろな投資案件が来ますが、中身の見えない投資はなるべく避けるべきだと思います。ただ、「〇〇という著名な投資家も出資しているから投資先が決まってなくても同じ運用をしたい」という方や、「そこのPEファンドの実績があるので投資したい」という方は良いのかもしれません。