
投資・資産運用は、感覚的に「マラソン」に近いです。それは長距離走であり、決して「短距離走」ではありません。
相場が大きく下落するような場面を見ていると、まるでジェットコースターに揺られているような気分になりますが、落ち着いてください。
なぜならこれは、長いマラソンの途中の出来事に過ぎないからです。富裕層や経験豊富な投資家はこのことを良く知っています。
つまり、たとえ急落の真っ只中であっても、投資は「将来のために資産運用をしている」ということを忘れてはならないということです。
新型コロナによるパニック売り
2020年3月。市場が歴史的にも急速に下落しました。新型コロナによる景気悪化懸念から、S&P500はわずか22日間で30%下落しました。
その時、投資家たちは新型コロナウィルス感染症が市場に与える影響について、パニックになっていたと言えます。
当時私は「この相場は短期的だから、パニックになってはいけない」と周りの富裕層に伝えていました。実際、弱気相場は短期で終わりました。
2022年における弱気相場
そしてまた2022年初めから、市場が混乱しています。
S&P500種株価指数は2020年以来の調整局面にあり、NASDAQ指数はさらに厳しい状態です。
では、このような調整局面から何を予測できるのでしょうか?
3種類の弱気相場
相場の下落が続いてしまうと、弱気相場と言われます。弱気相場には、
- 構造的な弱気相場
- 循環的な弱気相場
- イベント由来の弱気相場
の3種類が大きく分けるとあり、それぞれ異なった性質を持ちます。
1. 構造的な弱気相場
構造的な弱気相場は、金融バブルや経済の構造的な問題などが原因です。例えば、2000年のITバブルや2008年の金融危機などが挙げられます。
3つの弱気相場で最も避けたいのはこれです。下落が大きく、回復までに長い時間がかかる傾向にあるからです。
この相場の場合、過去の事例から平均3年半続き、市場は50%程度下落しています。下落前の水準に回復するまで、9年以上かかる傾向があります。
2. 循環的な弱気相場
循環的弱気相場は、金利上昇、差し迫った景気後退、企業収益の減益の影響によって始まるものです。景気循環の影響による株価下落です。
株価は、平均1年にわたり30%ほど下落し、2年ほどかけて回復する傾向があります。
2022年の株価下落は今のところは、この「循環的な弱気相場」に当てはまるのではないでしょうか。
しかし、今後、金利上昇や業績悪化に伴う大きなショックがあれば、それは最も避けたい「構造的な弱気相場」になる可能性もあります。
3. イベント由来の弱気相場
イベントの弱気相場は、オイルショックや新型コロナウイルスのパンデミック、そしてロシアのウクライナ侵攻のようなイベント要因によって引き起こされます。
最大の特徴は、他のものと比べて短期的に終わりやすいところです。
株価は、平均9か月間で30%程度の下落にとどまる傾向があります。平均1年前後で回復する場合がほとんどです。
このイベント由来の弱気相場は、構造的または循環的な弱気相場と比較すると回復までにかかる期間が短く、管理しやすい相場と言えるでしょう。
投資はメンタル
投資、特に株式取引をしていると、世界の終わりかもしれないと感じる時があります。そんな時は、過去の傾向を見てみるといいでしょう。
パニック、不安、そして不確実性などといった悲観的なことは、楽観的なことよりも大きく拡散されやすい傾向にあります。
しかし、そのようなネガティブに思われがちな調整局面や弱気相場にこそ、大きな利益を得られるチャンスがあるのです。
そのような時に私たちがすべきことは、周囲の悲観論に流されずに、冷静に市場を見ることです。そして、もし悲観論がピークに達する瞬間を捉えることができれば、それは最大のチャンスにつながるかもしれません。
投資は、冷静に。