
「エンジェル投資」「スタートアップ投資」「シード系PEファンド」などという言葉を最近よく聞くようになりました。
私のところでも常にいくつかの案件は持っていますが、投資という観点で見ると、創業したばかりの企業への出資は、正直勝率は高くありません。
しかし、うまくいった場合のリターンはとんでもないものになり、中には2倍どころではなく10倍や100倍にもなるような案件があります。
今回は、エンジェル投資のリターンについてお伝えしていきます。
スタートアップの本場アメリカでも勝率は低い
過去のデータを分析してみると、ごく一部の企業が巨額の企業価値を付ける一方で、 大部分のスタートアップへの投資はわずかな利益か損失に終わっています。
スタートアップ投資は結果が出るまで最低10年はかかると言われています。では、10年以上前にスタートアップ投資をしていた場合の現在のパフォーマンスはどうなのでしょうか。
これは、アメリカにおける2万1640件のスタートアップ投資(2004年〜2013年)について、どれだけのリターンを生み出したかという結果です。見ての通り、全体の68%の企業は、投資したお金が1倍未満になる「損失」です。
そして数倍以上の利益がでるのは全体の約35%であり、10倍以上の利益をもたらしてくれる大型案件はわずか4%に過ぎません。
日本ではまだスタートアップ投資のデータが少ないため見えるものはありませんが、感覚的にはこのデータよりかなり低い数字になっているのではないかと思います。
つまり、スタートアップ投資の勝率は通常の金融商品の投資に比べてかなり低く、投資するリスクはかなり高いです。
なので、エンジェル投資、スタートアップ投資をしたいと相談に来る方のほとんどは、こちらからお断りをしています。
本当に余裕資金であることや長期で資金が固定されること、途中での引き出しもできないため、それらが許容できる方でしか投資はできません。「最悪、ゼロになってもいいや」という資金で投資することをおすすめしています。
スタートアップ投資を夢にしたフェイスブック
勝率の低いスタートアップ投資でも、うまく大型案件に投資を出来れば莫大な利益が上がります。過去の実例で最もよく引用されるケースの一つが、フェイスブックへの投資でしょう。
2005年、まだフェイスブックが一部の大学キャンパスを対象にした学生向けのSNSだったころに、アクセルというベンチャーキャピタルはこのスタートアップに、初期投資家として1,300万ドルを投じました。
それから7年後、フェイスブックがナスダック市場に上場したときに、その投資はおよそ1000倍のリターンを生むことになりました。つまり、フェイスブック社への投資だけで7年で1兆円を超えるリターンを手にした計算になります。
このスタートアップ投資のイメージとしては、正月に売り出される福袋を思い浮かべるといいかもしれません。デパートやアパレル店などで売り出される福袋には、たくさんの商品が詰め込まれています。もしも10万円で購入した福袋を開けて、定価にして300万円ほどするエルメスの最高級バーキンが入っていたらどうでしょうか。その他に色もサイズもちぐはぐな洋服がいくら入っていても、バーキンさえ入っていれば大当たりです。
現実の福袋にそんなことはないですが、スタートアップ投資とはそういうものです。
スタートアップの伴走支援投資家
エンジェル投資をしている方を見ていると、ほとんどの方が経営に参加もしくは助言をすることを兼ねています。
自らも過去にスタートアップの起業を経験し企業を成長させた経験がある方が、その経験をスタートアップ企業に教えることで成長を促す伴走者になっています。
そして、その企業が成長し、M&AもしくはIPOでイグジットをすれば投資家である自身も大きなリターンを手にすることができるということです。
そのような「スタートアップの伴走支援投資家」であるエンジェル投資家は、スタートアップの起業前や起業直後から出資をし、経営にも参画することで投資を成功させています。
なので一般の個人投資家の方の投資という意味とは少し異なるため、プライベート・エクイティ投資の中でも投資ラウンドごとに自分に合ったフェーズを選ぶことが重要です。
エンジェル投資について詳しく聞きたい方はお問い合わせください。