
プライベート・ファンド投資は、個人では買えないような資産や金額のものに、複数人で資金を集めて投資できます。様々なものに投資をして利益を得ることができ、株式相場などに影響されにくい運用をすることによってポートフォリオの運用リスクを軽減することができます。今回はその仕組みと例を紹介します。
投資のスキーム
事業投資は私募ファンドの形式を取ることが多いです。私募ファンドは、株式や投資信託、債券といった有価証券を活用する以外の方法を利用をして金銭などの出資・拠出を受けて事業や投資を行う仕組みである「集団投資スキーム」で組成されるファンドをいいます。
「集団投資スキーム」では、出資を受ける形式として一般に匿名組合契約を利用した組合型ファンドです。
匿名組合をわかりやすく言うと、投資家の損失額の上限が出資額の範囲内となる有限責任であり、出資額以上の責任が生じないことです。
匿名組合員(投資家)同士の法律関係は一切なく、また、出資先の営業者の営業に関与することがないため、権利義務関係がシンプルです。
匿名組合を利用したファンドは一般的に未上場株への投資以外に、太陽光やクリーンエネルギー等の事業投資、不動産投資の小口化商品、航空機や船舶を購入してリースに出す運用を行うことに投資するオペレーティングリース等の投資で採用されるケースが見られます。
今回はそれ以外の例をご紹介します。ほんの一例なので詳細についてはお問い合わせください。
非金融事業①データセンター
投資をするにあたって今魅力的なものの一つがデータセンター投資です。
在宅勤務や電子商取引の急拡大、さらに遠隔診療やオンライン授業など、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして、インターネットを利用する様々なサービスが急成長しています。さらに、「5G」を利用する「IoT」「AI」「自動運転」などといった用途も今後見込まれ、それらサービスの提供に不可欠なデータセンターに対する投資が注目されています。
具体的には、1台数百万円もするような高性能サーバーを大量に保有し、そのGPUを使ってマイニングなどを行い収益を得ることができます。通常そのようなサーバーを個人で保有しても電気代や保守で時間とコストがかかるため難しいですが、ファンドであればそれら全てお任せできます。
サーバーの値段やマイニングされる仮想通貨などの値動きにより変動はありますが、利回りはだいたい20~40%程度と言われています。
非金融事業②BPO
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、「ビジネスで発生する業務をアウトソーシング」するという意味で、自社の業務を一括して外部のBPO専門業者に委託する手法です。主にコールセンターやWeb制作などの業務を委託することが多いです。
BPOは初期コストが大きくかかるものの、運営が始まってしまえばかなり利益が上がりやすい事業です。ファンドを通じて、そのようなBPO専門業者の事業に投資することができます。
フィリピンやインドなどの英語圏であれば世界中から受注することができるため利益率も高く、経済特区を利用した税制優遇措置も受けることができます。
投資した場合の利回りは10~20%程度で、基本的には数年間の長期投資となります。
非金融事業③産業用自動車
現在 、 国内のEC市場の発達や、時間指定配達・冷蔵冷凍配達といった消費者のニーズにあわせた運送サービスの普及に伴い、個人向け宅配を中心に荷物配達量は年々増加しております。
現在、物流の中でもとりわけ輸送量が多いのがトラックによる宅配です。トラックは不動産などと同様、安定した投資対象として注目されています。
トラックは普通乗用車と比較して頻用される車両ではあるものの、定期的な法廷点検を通じて車両の価値が担保されるので、経済耐用年数としては10年以上あるとされています。
このトラックファンド投資には、利益の繰り延べ効果があります。自動車の減価償却を活用し、利益を繰り延べることが可能で、中古車両においては、12 か月で償却できます。利回りはそこまで高くなく、3~5%程度です。
最大のメリットは収益性と相関性
これらのファンドは非金融投資のごく一例です。他にもワイン、絵画、映画、楽器の現物に投資をするファンドもあります。
商品性やリスクは様々ですが、プライベート投資戦略においてこれらの資産に投資をするメリットは、収益性が高いことと株式や債券などの金融資産と値動きが全く異なるため、ポートフォリオの安定化に寄与します。
案件自体少ないですが、皆様の周りで面白い案件ありましたら是非教えてください。