
投資・資産形成においてリスクは付きものです。しかし、そのリスクは、資産配分や銘柄分散などを行うことにより軽減することができます。
「ポートフォリオ運用」の重要性はだいぶ浸透しており、今までは富裕層やプロの機関投資家向けに提供されていた資産運用、資産保全の考え方です。今や個人投資家にも必須の手法となっています。
ポートフォリオ運用の重要性は皆さんもよくご存じだと思います。
では、具体的にポートフォリオを構築するにはどのようにすれば良いのか、またポートフォリオ運用提供業者はどのように構築しているのか、本日はそのステップをお伝えしていきます。
Step.1 資産状況の確認
まず、最初のステップです。複数の金融機関を含めた資産全体の状況を把握することです。ここでは、預貯金、株、生命保険などの金融資産の他に不動産などの資産もできるだけリストアップします。給与収入や毎月の支出も含めた方が良いでしょう。
自身の資産一覧を作ってみると、自分ではバランスよくしていたつもりでも必要以上に現金が多かったり偏りが出ていることが多いです。
ここで重要なのは、資産を把握することと、何かしらの気づきを得ることです。
Step.2 運用方針の決定
次に、資産運用をするにあたっての方針を決めます。以下のことがはっきりしていると良いです。
- 目標金額
- 運用期間
- 許容できる価格変動幅
こう見てみると、即答できる人はほとんどいないと思います。自分の運用のリスク許容度などわからなくて当然です。
単純に考えることです。つまり、自分が何歳までにいくらほしいのか、投資で増やして何に使いたいのか、そのあたりの目標を書き出してみます。
例えば、自分は今40歳で資産が1億円あるとします。50歳で早期リタイアするために2億円ほしい。とするとあと10年で1億円を2億円にする運用が必要になってきます。もちろん1億円すべてを投資に回すことはできないのと、毎月の収入もまだあることから実際には異なりますが、10年で約2倍にするためにどう運用すれば良いか。ということになります。
ここのステップではそれだけわかれば十分です。
Step.3 資産配分の構築
ここでは、実際に配分を決定します。このステップが個人で行うには難しいことです。資産ごとの期待リターンや想定リスクなどを考慮し配分を決定する必要があります。
ここは専門家に相談したり、投資信託や年金などのポートフォリオを参考に決定する方が良いでしょう。
上記の例だと、10年で2倍目標なので、複利運用で年利7.2%で運用する必要があります。現金や低リスク低リターンの資産を中心に組むポートフォリオではまず実現不可能です。
上場株式やプライベート投資商品を中心にしたポートフォリオでは実現可能かと思われます。
ステップ1とステップ2で出した現状と目標、これを実現させるための資産運用の大枠がステップ3でわかりました。
Step.4 金融商品の選定、運用の実行
ここまでで、資産ごとの割合(株式〇%、債券〇%など)が決まりました。次は、それぞれの資産ごとに個別に何を購入するか、です。
ここは銘柄選定と購入先の金融機関の調査が必要になります。個別の上場株でどの株を購入するか、債券であればどの年限、利回りのものを購入するかを決める必要があります。プライベート型商品を組み入れる場合は、どこから調達するかも決めなければいけません。
金融の専門家であればこのあたりをサポートしてくれます。しかし、ここも自分で全てやりたいよという方や金融商品にあまり慣れていない方は、ステップ3で導き出した資産配分通りにインデックスファンドやETFを購入すればそれでも十分だと思います。
Step.5 資産配分の見直し・全体のレビュー
これでポートフォリオ構築はできました。ポートフォリオ運用において最も重要なことはその後です。
ポートフォリオを構築した後も、少なくとも年に1度は一連の流れに従い現状を確認した方が良いです。その際、必要に応じて運用方針、資産配分や組み入れ商品の見直しを行うことで、最新・最適なポートフォリオを維持していくことが可能になります。
時価変動により資産配分が計画から大きく乖離している場合には、配分の調整(リバランス)を実施すべきでしょう。
自分でポートフォリオ構築する
ポートフォリオ運用を具体的に行うための5つのステップをお伝えしました。
いかがでしょうか、金融業界に見識のある方であれば全てをご自身でできるかもしれませんが、普通は難しいと思います。
証券会社やIFA、ロボアドなどはこの一連の流れを投資家に代わり行っています。個人投資家向けであれば、いくつかのモデルポートフォリオに当てはめるだけですが、機関投資家や富裕層向けに提供されている場合は、まさにそれぞれ個別のオーダーメイド方式でポートフォリオを構築していきます。
投資において重要なポートフォリオ構築ですが、その専門性からコストも発生します。
個人向けに提供されているサービスにおいて、大きな違いはステップ3とステップ4です。ポートフォリオの選択肢が多く、投資先が個別銘柄になるようなサービスだと年間3%以上かかります。主に対面証券会社が提供しています。
ポートフォリオの数が少なく、投資先がインデックスに限られるような場合、手数料は1~3%程度です。主にロボアドやIFA経由で提供されています。
私としては、個人投資家の資産運用は、ロボアドなどの運用サービスは利用せずに、自身でポートフォリオを構築した方が良いと思ってます。