
プライベート・エクイティ投資についてお伝えします。プライベート・エクイティ(Private Equity)とは、未公開株式のことで、広義には株式の未公開会社に関する投資すべてを含む概念のことをいいます。取引所で売買される公開株と異なり、未公開企業の資金調達を目的に私募形式で発行された株式などがこれに当たります。
プライベート・エクイティの投資領域
未公開株の投資領域は企業の成長ステージに応じて、
- シード
- アーリー
- ミドル
- レイト
に分かれます。どの企業も、起業~上場までこれらのステージを辿ることになります。プライベート・エクイティ投資においては、早いステージほどハイリスクハイリターンで、上場に近づくにつれローリスクローリターンになります。
シード・アーリーステージでは、主にエンジェル投資家や一部のベンチャーキャピタルなどが投資しています。この段階ではまだ事業も赤字で夢に向かうために資金調達をしている段階なので、うまくいけば数年で何百倍にもなる可能性はありますが、事業が成り立たずに倒産して価値がゼロになるということもあります。起業して会社を大きくしたような実業家が、ビジネスを後押しするという意味合いも含めてエンジェル投資家として出資することが多いです。投資家はどちらかというと投資というより顧問に近い役割を果たすので、プライベート投資戦略としては避けた方が良いでしょう。
ミドルステージは、ある程度事業の成長が見込めてきた段階で、アーリーステージと違って爆発的な成長のための大きな資金調達をし始めるタイミングです。ここでの主な投資家はベンチャーキャピタルですが、機関投資家、つまりプロの投資家も参入しています。プライベート投資戦略でも、ここのステージの案件も多くあります。イメージとしては、3年~5年で上場を目指し、その場合は投資リターンは5~10倍といった感じでしょうか。しかしその場合も数年間は資金が動かせないので注意が必要です。
レイトステージは、ある程度成長が継続し、上場準備に入るタイミングの企業です。初期段階から投資しているエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどは、既にこのステージになった時点で投資成功です。なので、売却する投資家も多くいます。上場に向けた資金調達と、既株主からの売却株をもとに投資することができるのがこのステージです。プライベート投資戦略ではメインで取り扱っている分野で、1~3年目途に上場するような非常に魅力的なプライベート・エクイティです。案件があれば買いたい、そんなステージです。
アメリカと日本のプライベート・エクイティ
このようなプライベート・エクイティですが、おそらく日本で投資したことのある人はごく限られています。このような非公開性かつ魅力のある投資案件なので、詐欺も多いです。各金融機関のホームページに「未公開株詐欺に注意」と書かれているほどです。
しかし、アメリカではそうではありません。上場株と同じようにプライベート・エクイティ投資は一般的で、未公開株専門の証券会社も複数存在しています。もちろん金額が小さいアーリー期の規模はそこまで大きくありませんが、レイト期の投資は非常に盛んです。よくアメリカ人は投資に積極的で株を持つ人が多いと言われますが、この株の中には一定割合プライベート・エクイティが入ります。
プライベート・エクイティは取引所がないので、流動性がないというのが難点ですが、そのおかげで株式市場との連動性はありません。もちろん上場した後の動きは相場に影響されますが、結局この投資がうまくいくかどうかは、その投資先企業が成長するかどうかにほぼかかっています。
投資案件があれば、その企業を良く見て今後数年間で成長するかどうか、成長しそうならばどの程度市場を席捲できるか、既成のサービスを打ち破るような爆発力があるか、このあたりが投資の判断基準です。もちろん案件自体少ないので、購入できるタイミングであれば是非お勧めします。